日本酒造りに適したお米が「酒造好適米」、つまり「酒米」です。
普段食べている「飯米」は、日本酒造りの世界では「一般米」とも呼ばれます。
日本酒を造るためには「酒米」だけを使うのだとばかり思っていましたが実際はそうではなく、「飯米」の方が多く使われているのだそうです。←私にとっては、結構衝撃でした!
酒米が日本酒造りに適している理由などについては、コチラに書きました。日本酒造りには酒米より飯米の方が多く使われているって話も書いています。
で、そんな酒米の育て方ですが、実は飯米に比べて育てにくいんです。
農家さんにとっては飯米を生産する方がまだ簡単で、酒米はかなり手をかけて育ててあげなくてはいけない厄介な品種なのだそう、、、だからこそ、酒米は飯米よりも高値で取引されるそうなのです。
酒米は飯米よりも育てにくい!
酒米も飯米もお米であることには変わりなく、基本的には田んぼに水をはってそこで育てます。でも酒米には、飯米を育てるのとは違う次のような難しさがあります。
1、酒米の稲穂は、飯米よりも背丈が高い
コシヒカリやササニシキの稲穂の背丈は120〜130cmです。これらは飯米の中では背丈が高い方のようで、倒伏しやすく栽培が難しい品種とされているそうです。
それに対して、酒米の代表とも言える山田錦の背丈は150cmほどにもなるそうです。背丈が高くなればなるほど、倒伏しやすくなってきます。酒米は飯米よりも倒伏の被害にあいやすいのです。
ただし、、、稲の背丈についていろいろと調べたのですが、具体的な高さについてははっきりしませんでした。とにかく「酒米は飯米よりも背丈が高い」ということだけは間違いないようです。
2、酒米の収穫時期は、飯米よりも後の季節
酒米の生育には飯米より時間がかかり、そのため収穫時期は飯米よりも遅くなるそうです。収穫まで時間がかかってしまうほど、台風が来てしまう可能性も高くなります。ひとたび台風が来てしまうと、背の高い酒米は倒伏の被害を受けやすくなってしまいます。
このように、酒米は飯米よりも繊細で育てにくいのです!
台風被害にあった田んぼは映像で見たことがありますが、酒米はあのような被害をさらに受けやすいということです。せっかく田植えをした春から愛情持って育ててきたのに、収穫直前の秋に台風にやられてしまったら悲しいですよね。
他にも酒米を育てるには、
- 日照りが良く、朝晩の寒暖差が大きい土地であること
- しっかりした茎にするため、栄養分が豊かな土壌作りが必要
- 日当たりや通気性を良くするため、苗には適度な間隔が必要(飯米の2倍ほどの間隔が必要になる)
酒米の種類によっては、広々とした平野ではなく山間部の棚田で育てた方が生育条件が良いということもあるそうです。
以前旅先で見かけた棚田の風景はとても美しいものでしたが(酒米を育てていたのかどうかはわかりません)、あのような土地に農機具を入れて作業するのはなかなか難しでしょう。
農機具を入れることができなければ、手作業で土地を耕したり稲を刈り入れるしかありません。それはとても重労働です。
そんなことから、、、酒米は飯米よりも高値で取引されているのです。
酒造りのためには、そんな酒米をさらに磨く必要がある
飯米よりも高値で取引されている酒米ですが、酒造りはそんな酒米の玄米を磨いて白米にすることからスタートします。
玄米を磨けば磨くほど雑味がなくなり、美味しいお酒になるとされます(ただし、「たくさん磨けば美味しい日本酒」という訳でもありません)。
大吟醸酒や純米大吟醸酒は、50%以下まで磨くというように規定がされています。つまり最初のお米の重さの半分以下にまでなってしまうのです!
40%以上に磨いている日本酒だってありますよね。それはつまり、高値で取引された酒米の、半分以上の部分を削り取ってしまっているってことなんですよね。ちょっともったいないことをしている気がしてきました。だって、お米の栄養が一番ある部分を削っているんですよね〜
ちなみに普段の食事に出てくるご飯の精米歩合は95%程度です。
これを聞くと、大吟醸や純米吟醸がずいぶん高価なのも納得ですよね。。。
あ、磨いて除かれてしまった部分の糠(ぬか)や砕けたお米などは、ちゃんと米菓子や飼料として再利用されているそうです。良かった、良かった ^0^
酒米の出来は、育てた土地が重要なポイントとなる
技術の進化などにより、同じ一つの品種を日本のいろいろな土地で育てることも可能になってきています。しかし同じ品種の酒米であっても、育てる土地の環境によってその出来はずいぶん違って来るのだそうです。
例えば、「山田錦」の生育に適した土地は兵庫県三木市、加東市付近とされます。「雄町」は岡山県の赤磐市辺りが良いそうです。
現在、酒米の代表である「山田錦」は東北地方から九州地方までで育てられているそうですが、やはり一番良いのは兵庫県の「特A地区(三木市や加東市にあり)」で育てられたものなのだそうです。
最近は地元のお米を使った酒造りをしようとしている酒蔵さんも多いですよね。地元でできたお米を使い、そのお米が育てられたのと同じ水を使い、同じ空気(気候)の中で微生物たちの力を借りてお酒を醸すっていうのは、聞いているとわくわくします。
とは言っても、どこで何を育てていても農家さんはすごいなと思いますよ。
私は家庭菜園もうまくできないので。
自然を相手にしている仕事って、偉大ですよね。。。
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