イギリスのスコットランドには、たくさんのウイスキー蒸留所があります。そのウイスキー蒸留所では、猫たちが活躍している事をご存知ですか?
彼らの名前は「ウイスキーキャット」。
ウイスキー蒸留所にとって、原料の大麦などを食い荒らすネズミは大敵です。そのネズミを退治するために従業員として蒸留所に雇われているのがウイスキーキャットなのです。
世界で一番有名なウイスキーキャットはメス猫のタウザーです。グレンタレット蒸留所にいた猫で、24年の生涯で28899匹(本猫申告による。捕らえたネズミを咥えて報告してくれたため、それを人間のスタッフがカウントしていったそうです。)ものネズミを退治しました。この記録はギネスにも登録されています。
突然ウイスキーの話で始まりましたが、実は日本の酒蔵にいる猫だって負けてないんです。
京都の二条城近くにある「佐々木酒造」さんでも、猫従業員が活躍しています。今日はそんな「酒蔵の猫」を紹介しましょう。
『佐々木酒造』の従業員数は「ネコ含む」
「佐々木酒造」さんがあるのは、京都の二条城から歩いて数分の場所。
創立は1893年(明治26年)で、創業120年以上にもなる酒蔵です。代表的な商品は「聚楽第」や「古都」などになります。
と、ここまでで気が付いた方もいらっしゃるかもしれません。そうです、この酒蔵はあの佐々木蔵之介さんのご実家です。ドラマ「ハンチョウ」とのタイアップで日本酒が発売されたこともありましたね。
佐々木酒造さんのホームページはこちらになります。
ホームページを訪ねたら、その左側にある「佐々木酒造について」をクリックしてみてください。
(こちらに飛びます。 佐々木酒造について|佐々木酒造株式会社 )
「会社概要」の「従業員数」に注目です。
なんと、、、
”29名(ネコ含む)”となっているではないですか!
猫従業員は現在3匹在籍中。。。彼らを紹介します
2019年4月現在、佐々木酒造さんには猫従業員が3匹います。総従業員数は29名とのことですから、人間の従業員は26名のようですね。
3匹の名前は「ちび子」「あーちゃん」「ちーちゃん」と言います。彼らの詳しいプロフィールを紹介しましょう。(なお、年齢は2019年3月時点のものです。)
ちび子(女の子):10歳
3匹の中で一番お姉さんです。父猫も母猫も野良ちゃんで、4匹兄弟で生まれました。
1匹はすぐ死んでしまったのですが、残った3匹は元気に育ちました。兄弟たちの名前は「古都くん」「ルシアンくん」です。2匹とも他へもらわれていきました。
ちび子ちゃんはちょっと人見知り。いろんな人間たちからちょっかい出されるっていうのは、、、あまり好きではありません。
あーちゃん(男の子):9歳
ちび子ちゃんの次の年に、野良ちゃんの両親の間に4匹兄弟で生まれました。ちーちゃんとは兄弟です。
他の兄弟の名前は「そら豆ちゃん」と「ひよこ豆ちゃん」で、2匹とも他へもらわれていきました。
実はあーちゃんの本名は「アルベルトくん」です。なんとあの相対性理論を提唱したアルベルト・アインシュタインの名前からとったそうなんです。なんだか立派な名前です。
3匹の中でも一番社交的で、好奇心も旺盛です。お客さんの接客から酒蔵周辺のパトロールまでいろんな仕事をこなしています。
そしてもちろん「酒蔵の猫」らしく、ウイスキーキャットにも負けず劣らずネズミ退治だってたまにはします。捕らえたネズミを咥えたまま、すぐに社長に報告に来てくれるそうです。
ちーちゃん(男の子):9歳
あーちゃんとは兄弟。で、気になるちーちゃんの本名ですが、、、ちーちゃんはちーちゃんなんだそうです。ちょっと何かを期待していたようで、、、残念です。
のんびり屋さんで、外のパトロールよりもおうちの中でまったりの方が好きなようです。
あーちゃんは自分で玄関も開けられる!
以前は、3匹の自宅は酒蔵のすぐそばにありました。(最近は引越ししたため、少し離れてしまいました。)あーちゃんはよく休日出勤もしていて、近所のパトロールや蔵のネズミ退治をしていたそうです。
あーちゃんの特技は自分で玄関のドア(引き戸)を開けることで、自分で玄関を開けては勝手に外出していたそうです。
開けっ放しになっているドアからちび子ちゃんやちーちゃんが出てしまうこともあったのですが、2匹は怖がり屋さんですぐ戻って来たそうです。
最近は非常勤、残念ながらお店に出るのはたまにだけ
3匹の可愛い猫従業員たちに会いたい!と思われた方、残念ながら最近はお店に顔を出すことはあまりないようなんです。
以前は酒蔵のすぐ近くに住んでいた3匹ですが、最近は少し離れた場所に引越ししてしまいました。現在は完全に室内猫として暮らしているそうです。
そして彼らも既に、人間だったら部長クラスの年齢です。9歳(人間だと52歳)と10歳(人間だと56歳)になり、もう外回りの仕事をしているよりも非常勤での勤務になってきたのでしょうか。
銀明水で仕込んだ佐々木酒造の日本酒
佐々木酒造があるのは二条城の北、歩いて5分くらいの場所です。(二条城の入り口は東側のだけのため、そこからは歩いて15分くらいになります。)
この場所は豊臣秀吉が建てたとされる「聚楽第」の南端辺りになります。この辺りの水は「銀明水」と言い、その水質はとても良いとされています。
茶道が趣味だった秀吉も、この銀明水を使って(もしかすると千利休も一緒に)お茶を入れていたかものしれません。
お店には、ここでしか買えないいろいろな猫関連のグッズもあります。酒袋セットで猫ラベルの日本酒を売っていたり、猫のイラストが描かれたトートバックや前掛けなどもあります。
通常の日本酒は通信販売でも買うことができるのですが、猫グッズはお店に行かないと買えません。京都観光の際には、ぜひ寄ってみてください。
明治時代には130軒以上の酒蔵!現在はたった3軒に
現在、日本全国の酒蔵がどんどん減少してきていることは先日も書きました。全国的にそのような状況なのですが、特に京都市内の減少の仕方はかなり激しいようです。
明治26年の記録で、京都市内には131軒の酒蔵があったとされています。さらにもっと前の室町時代の中期には、300軒以上あったと言います。
それが現在は、伏見区を除いた京都市内にある酒蔵は3軒のみなのです。
伏見区に限ってみれば日本酒の生産量は全国第2位で、現在でも多くの酒蔵があります。しかし伏見区を除いた京都市内は、酒蔵減少率が高くなっています。
佐々木酒造の周りにも、40〜50年前にはいくつか酒蔵があったそうです。それがここ数十年でどんどん減っていってしまいました。
最近(よりもっと前からかもしれませんが)は日本酒離れが進んでいると言われます。ただ、私自身もそうだったのですが、美味しい日本酒を飲む機会が少ないということもあるのではないでしょうか。
このブログを読んで、ちょっと試しに日本酒でも飲んでみようかなぁと、ふと思っていただけたらいいなとも思っています。
というわけで、今日は佐々木酒造の猫従業員たちのお話でした。
最後に、今日は猫従業員を代表してあーちゃんの写真です。
3月末に東京で「ねこのひょっこり展」という写真展示会がありました。
猫たちが物陰からひょっこり顔をのぞかせている写真を集めた写真展だったのですが、あーちゃんのひょっこり写真がその展示会で選ばれたんです!
ねこのひょっこり展で展示されていたパネルのあーちゃんです。
目がクリクリしてて可愛いにゃ〜。