酒猫ブログ(「酒と猫の日々」改め)

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日本各地に広がる「山田錦」の子孫たち

先日は『山田錦のルーツを探る旅』を勝手にやって終わったつもりでいましたが、大切なことを忘れていました!「山田錦」の子孫の話題です!!

 

山田錦のルーツについてはコチラで書いています。

酒米の王様「山田錦」のルーツ① - 酒猫ブログ(「酒と猫の日々」改め)

酒米の王様「山田錦」のルーツ②、、、とゆうか「渡船」のこと - 酒猫ブログ(「酒と猫の日々」改め)

 

で、今日は「山田錦」の子孫のお話です。

 

日本各地で活躍する「山田錦」の子孫たち

「山田錦」は1936年(昭和11年)に品種登録されました。そしてさらに優良な酒米を生み出そうと、いろいろな酒米と掛け合わされて新たな品種が生まれています。

 

そうして生まれた「山田錦」の子供や孫たちを紹介しましょう。順番は品種登録された順となっています。

 

・改良山田錦(1958年、兵庫県)

「愛知三河錦4号」と交配して生まれました。

兵庫県では奨励品種に採用されませんでしたが、広島県では奨励品種となり数年間活躍したそうです。

 

・造酒錦(みきにしき)(1960年、岡山県)

「山田錦」の自然突然変異によって生まれました。

岡山県酒米第一号として品種登録されていましたが、その後は栽培されなくなっていました。

しかし近年、岡山県の白菊酒造さんによって復活しています。ごくわずかな種籾から、10年の歳月をかけて酒造りができる状態にまで育てられたそうです。現在は『純米酒 造酒錦』として白菊酒造から限定販売されています。

 

ところで、、、「造酒」さんという名字の方がいらっしゃるんですね。全国で210人くらいなんだとか。長崎県が一番多いようですが、他にも大阪府や香川県などと続いていて東北や関東にもいます。結構、全国各地に散らばっているようです。ルーツはやはり、昔、お酒を造る職業に就いていたということでしょうか。「造酒」さんだけど下戸ってこともあるかもね。

 

・金紋錦(きんもんにしき)(1964年、長野県)

「たかね錦」との交配で生まれました。

現在も長野県で生産されていて、長野県の各蔵で使われているようです。長

野県独自の酒米として大切に扱われている?、、、みたいです。

 

・西海134号、135号(1971年、福岡県)

「シラヌイ」との交配で生まれました。

134号と135号は、どちらも同じ交配で誕生した姉妹品種です。

佐賀県の天山酒造さんが佐賀県産西海134号を使った日本酒を販売されているようです。また福岡県の杜の蔵さんでは西海134号を独自に育て「大地の輝」と命名、その酒米で酒造りをしているそうなのですが、、、現在は栽培されていないのかもしれません。

 

・兵庫恋錦(1972年、兵庫県)

「IM-106」との交配で生まれました。

現在も兵庫県吉川町を中心に栽培されているようです。「こいにしき」というネーミングがいいですね〜。1993年には「兵庫夢錦(ゆめにしき)」という酒米も品種登録されています。

 

・灘錦(1982年、兵庫県)

「中国31号」との交配で生まれました。

日本酒造りの中心地の灘で生まれた酒米で、西播磨地区では良く栽培されていたのですが、その後「兵庫夢錦」が誕生したことでその地位を明け渡しました。

 

・山酒4号(玉苗)(1983年、山形県)

「金紋錦」との交配で生まれました。

この酒米は山形県立村山農業高校で交配、育成されたそうです。そして地元の農家さんで契約栽培されているんだとか、、、へぇ〜って感じです。

ちなみに「金紋錦」は「山田錦」と「たかね錦」との交配により誕生しています。

 

・兵庫夢錦(1993年、兵庫県)

「菊栄」や「兵系23号」などとの交配で生まれました。

兵庫県西播磨地区で栽培されていて、「兵庫の酒米三錦」の一つです。ちなみに他の二つは「山田錦」「兵庫北錦」です。

 

1995年以降は「山田錦」の子孫がどんどん誕生しているので、品種名だけあげていきます。「山田錦」の子供や孫(子供の品種を使って交配したもの)たちになります。突然変異によって生まれた品種もあります。

 

  • 吟吹雪(1995年、滋賀県)
  • さがの華(1996年、佐賀県)
  • 夢山水(1997年、愛知県)
  • 吟の夢(1998年、高知県)
  • サケビカリ(1998年、群馬県)
  • 華かほり(1998年、加工米育種研究所)
  • 美郷錦(1999年、秋田県)
  • ひより(1999年、宮城県)
  • 酒未来(1999年、山形県)
  • 龍の落とし子(1999年、山形県)
  • 千本錦(1999年、広島県)
  • はなかぐら(2000年、宮崎県)
  • 佐香錦(2001年、島根県)
  • 華想い(2002年、青森県)
  • つくし酒舞(2003年、福岡県)
  • 出羽の里(2004年、山形県)
  • 越淡麗(2004年、新潟県)
  • いにしえの舞(2004年、兵庫県)
  • 誉富士(2006年、静岡県)
  • さぬきよいまい(2006年、香川県)
  • 越神楽(2007年、新潟県)
  • 吟のさと(2007年、福岡県)
  • 兵庫錦(2008年、兵庫県)
  • 壽限無(2010年、福岡県)
  • 雪女神(2015年、山形県)

この他にもいっぱいあったのですが、書ききれないのでやめました。

全て『酒米ハンドブック 副島顕子著』を参考にさせていただいています。

 

「山田錦」は生まれてから既に80年以上ですが、今だに現役で頑張っています。そしてそんな優れた酒米を使って交配された品種が、世の中にはたくさん出ているんですね。

 

ただ親の「山田錦」を超えられる品種はなかなかないという話も聞いたことがあります。そう考えると、、、「山田錦」ってやっぱすごい、、、

 

高木酒造の14代目が育成した酒米

上記の品種の中には、都道府県の農業試験場のような公の機関が育成したのではなく、個人が交配して作り出した品種もあります。

 

「酒未来」「龍の落とし子」はあの「十四代」の酒蔵「高木酒造」の14代目高木辰五郎氏が育成されたものなのだそうです!他に「羽州誉」という品種も育成されたそうです。

 

”へぇボタン”を押しまくりたい気分です。えっ、”へぇボタン”って、わかりますよね!?

 

たった一人で品種改良!そして「ひより」が生まれた

酒米を調べていてちょっと気になった品種がありました。それが「ひより」。なんでも宮城県岩沼市の平沼静隆氏がたった一人で品種改良して生み出した品種なのだとか。。。

 

平沼静隆氏、なんだか夢にあふれた素敵な方みたいです。インタビュー記事を読んでいたら、平沼さんのことが気になり始めました。

 

ちなみに「ひより」は「山田錦」に匹敵するほど優れた酒米なんだそうですが、栽培は困難な品種なのだそうです。

 

 

 

 

 

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