先日読んだ酒造り唄の本、興味をそそられることがいろいろと書かれていました。
それがコチラの本なんですが、、、
20年以上も前に出版された本になります。
私は図書館で借りてきました。
日本酒を造るときに「酒造り唄」を歌っていたという歴史は徐々に忘れられかけていますから、この本にはすごく貴重な話が書かれていると思います。
この本に関して思ったことを、以前にもブログに書きました。
20年以上も前に出版された酒造り唄の本を発見!! - 酒猫ブログ(「酒と猫の日々」改め)
20-30年近く前は純米酒なんてほぼ存在しなかった、らしい。。。 - 酒猫ブログ(「酒と猫の日々」改め)
蔵人たちにとって、日本酒を造るときに”唄を歌う”という行為はすごく重要なことだったようです。
そして酒造り唄をまともに歌えない蔵人は、お給料を半分に減らされたとか!?
この辺りのお話、ちょっと気になりませんか?
「酒造り唄」が歌えないと、お給料は半分に減った
酒造りをする上で、酒造り唄は欠かせないものでした。酒造り唄の役割はこの後に書きますが、作業時間を知るためだけでなく危険を防止するということもありました。
そして「唄半給金(うたはんきゅうきん)という言葉も生まれたのです。この言葉の意味は「酒造り唄を満足に歌えない者は、お給料も半分しかもらえない!」です。(越後杜氏独自のワードという話もあります)
逆に歌が上手かったら、それだけで蔵人になれたということもあったようです。それだけお酒を造る上で酒造り唄は重要だったんですね。
私は蔵人にはなれないようです、、、なぜなら、自慢じゃないけど私は超オンチ!とてもじゃないけど、音がいい感じに響く酒蔵で、ソロで歌うなんて無理です><
緊張してお酒を仕込むどころじゃなくなる〜
まぁ、女だっていう時点で、昔は蔵人になれなかったと思うけど。
「酒造り唄」の役割はいろいろ、、、生存確認も!
現在では時計や温度計はごく普通にあるもので、酒造りの際にも日常的に使って作業を進めています。しかし昔はこのような測定をする器具はありませんでした。そのため仕込みのタイミングを管理するために唄を歌っていたのです。
<酒造り唄の役割>
- タイマーとして、作業時間を測る
- 蔵人同士の作業の音頭をとる
- 数を間違えずに数える
- 離れた場所にいる仲間に作業の進行状況を伝える
- 疲れた心身を奮い立たせて効率を上げる
- 眠気覚まし
- 仲間意識を盛り上げる
- 危険を防止し生存確認する
最後の「生存確認」以外は、なんとなくわかる気がしませんか?
時計も温度計もなかった時代には、この唄をどこまで歌ったらこの作業は終わりで次の作業に移るとかが決まっていたんですよね。
蔵人同士で作業のタイミングを確認して合わせたり、離れた場所から熱湯を運んでくる仲間に現在の作業状況を伝えてちょうどいいタイミングで持ってきてもらったり。。。
数え唄としての役割も重要だったようです。仕込み水は手桶で何杯入れるなどが決まっています。もしも数え間違えたりしたら全てがパーになってしまいます。数字だけを数えていたのでは間違えやすいので、歌にして数人で歌いながら作業していたそうです。
蔵人たちの仲間意識を盛り上げるっていうのにも、唄はすごく効果ありそうですよね。そして作業は真夜中だって続きましたから、眠気を覚まして気持ちを奮い立たせることも大切です。
で、さらに唄を歌うことには危険を防止したり生存確認をするって意味もあったそうなんです。
唄を歌って生存確認!?
昔の桶は木製で、酒造りを始める前にはまず全てをキレイに洗わなくてはいけませんでした。大きな樽を横倒しにして裸になった蔵人が中に入り、竹ひごを束ねたような道具で桶の表面を丁寧に洗ったのです。
別の蔵人がお湯を沸かし、熱湯を運んできて桶にかけ「熱湯消毒」をします。桶の中は湯気が充満し、そんな中で蔵人は黙々と手作業で桶の表面を洗い続けました。
湯気が充満する狭い空間で全身を使って作業をしていると、場合によっては貧血で倒れてしまうことだってあり得ます。各自がそれぞれの作業に集中しているときだと、桶の中で仲間が倒れてもすぐに気付けない危険性があります。
そんな危険を防止するためにも、作業中には酒造り唄を歌っていました。歌声が続いて入れば桶の中で元気に作業しているという印だったのです。唄を歌うことは”義務”だったそうです。
歌にはいろんな役割があったんですね〜。
酒造りはゲンを担ぐ、ちょっとした事故で路頭に迷うことも
酒造りはちょっとしたことでもゲンを担ぐことが多く、ゲンが良いとか悪いとかを結構気にしたようです。その年の酒造りを始める前には神社仏閣に祈願をしたりしました(たぶん、これは現在でも同じかと思います)。
もしも「さぁ、今年も酒造りの季節がきた」と気合が入っているときに、蔵人が倒れて大事故になってしまったりしたら大変です。蔵元さんは「ゲンが悪いから、無理してこのまま酒造りを続けるより思い切って今年はやめよう」と思ってしまうかもしれません。
そうなると困るのは蔵人たちです。蔵人たちは冬の間郷里で仕事がないために出稼ぎに来ているのに、その仕事がなくなってしまっては困ってしまいます。
しかも一度そういう事故が起きてしまうと、来年も引き続きこの酒蔵で使ってもらえるか微妙な状態になってしまいます。他にも蔵人たちのグループ(杜氏集団)はいるのですから、もしかすると来年は自分たちに声がかからないかもしれません。
そんなことになったら、蔵人たちは冬の間の収入を得る手段がなくなってしまいます。他の酒蔵に行くにしても、そう簡単にすぐ次は見つからないでしょう。
ちょっとした事故が、蔵人たちの村全体を路頭に迷わせてしまうかもしれないのです。
この話を読んでいて、蔵人たちの生活の大変さを感じました。蔵人たちは夏は郷里で農業や漁業をしています。夏が終わってそれらがひと段落する頃に、今度は家族を残して酒蔵へ出稼ぎに行くんですよね。(今はほぼ違いますよ、昔の話です)
そして寒い冬、朝早くから冷たい水を使って作業をしたり、真夜中も眠ることなく仕込みを続けたり、、、
それだけ頑張っていても、来年も出稼ぎの仕事があるかどうかは蔵元の一言にかかっていたわけです。まぁ蔵元としても、美味しくて売れるお酒を造ってくれないことには経営が成り立ちませんからね。
ほんと、蔵人さんたち、まじリスペクトって感じです^0^
というわけで、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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