酒猫ブログ(「酒と猫の日々」改め)

日本酒と猫、そして時々は横浜情報を織り交ぜつつ。。。

【宇多天皇】ツンデレだけれど、実は猫好き天皇

こんにちは、ばくです。

 

先月、超新星や藤原定家の「明月記」のことなどを書いたのですが、

その中で「明月記」に残る客星の記録について書きました。

(注:客星っていうのは普段ないはずの場所に一時的に出現した星のことです)

 

その日のブログがこちらです。

 

藤原定家が陰陽師から聞いて書き記した、

過去の客星の記録っていうのがあるんですが、、、

 

その中に、

宇多天皇 寛平3年(891年)

ってのがあったんです!

 

猫好きの皆さん、宇多天皇ですよ、宇多天皇!!

 

もっと早い時期に宇多天皇の話を書こうと思っていたのですが、

遅くなってしまいました。

 

今日は宇多天皇スペシャルです^^//

 

<目次>

 

 

猫好きだった宇多天皇の書いた、日本最初の飼い猫日記

今日のお話は、以前、他でも書いたことのあるものなんですが、、、

 

日本で初めての猫ブログ的なものを書いた人、、、

それが『宇多天皇』なんです!

正確には”初めての人”ではなく”初期の人”です。。。他にもいたかも!?

 

「宇多天皇御記(うだてんのうぎょき)」という日記をずっと書いていて、その中に自分飼っていた黒猫の話が出てきます。(「寛平御記(かんぴょうぎょき)」と呼ばれることもあります。)

 

この日記は現存する天皇の日記としては最古のものとされるんですが、メインで書かれているのは政治の中枢でどんなことが起きたとか、後世に伝えておきたい連絡事項とかの話です。

 

元々は10巻あったと伝わるのですが、原本はすでに何も残っていません。現在残っているのは、後世に(現在からすると昔だけど)文献などで引用された部分だけになります。

 

硬い内容が中心の日記なんですが、その中にほんの少し自分の飼い猫の話を書いている部分が残っているのです!

 

この日記、日本における飼い猫の記録としてもとても貴重なものです。現在残っている飼い猫の記録としては、一番初期の頃のものになります。

 

猫ブログの第一人者!?宇多天皇の波乱万丈な人生

宇多天皇(うだてんのう)は平安時代前期を生きた人です。

 

父はのちに光孝天皇となられる方で、そのまた父親(宇多天皇の祖父)は仁明天皇です。

母は桓武天皇の孫娘にあたる人でした。

他にもいとこに天皇がいたりして、とにかく宇多天皇は皇族として素晴らしい血筋て生まれた人です。

 

『宇多天皇』の名前は授業ではあまり聞き覚えがないかもしれません。それより、あの菅原道真の実力を認めて重要な役職へと抜擢した天皇というとわかりやすいかもしれません。

 

 その生涯(特に若い頃)は波乱万丈でした。

 

幼い頃から聡明で血筋もいいですから、本当ならば将来は約束されたような人だったのです。

 

それなのに884年、陽成天皇が素行に問題があるとして退位させられてしまいます。本当に”素行に問題”があったのか、闇の権力のせいなのかはわかりません。

 

で、この後に突然即位しなくてはいけなくなったのが、すでに55歳になっていた宇多天皇の父親だったのです。こうして光孝天皇が誕生しました。

 

宇多天皇の父親としては、自分は一応即位したけれどその後を継ぐのは陽成天皇の弟になると思っていました。だから「自分の息子に継がす気はないですよ〜」ということをハッキリさせるために、子供たちはみんな臣籍降下させました。

 

こうして、宇多天皇(まだ天皇じゃないけど)はある日突然、皇族を離れて一般人にならなくてはいけなくなったのです。このとき「源定省(みなもとのさだみ)」と名乗りました。

 

そしてその3年後、887年に光孝天皇はなく亡くなりました。

 

本当ならばこの後は陽成天皇の弟が継ぐはずだったのですが、陽成天皇の母親とこのときの関白であった藤原基経は、実の兄妹なのにすごく仲が悪いという関係性でした。

 

こんな人間関係のゴタゴタに巻き込まれて、結局は宇多天皇が即位することになったのです。このとき、もう宇多天皇は臣籍降下しています。なのでもう一度皇族に戻って、で、天皇に即位しました。

 

こんな風に「皇族として生まれたのに一度臣籍に降り、再び皇族に戻って天皇として即位する」という人生を送ったのは、宇多天皇以外にいません。これはとても珍しいケースなのです。

 

このとき宇多天皇は21歳。

そしてこの激動の時期を一緒に生きてくれていたのが、一匹の黒猫でした。

 

 

猫好きの青年「宇多天皇」と一匹の黒猫の日々

21歳で即位した後から書き始めたのが「宇多天皇御記」と呼ばれる日記です。

もちろん政治的なことがいろいろと書かれた日記なんですが、その中に天皇の日常を感じさせてくれる黒猫の話が出てくるのです。

 

 

889年12月(2月という説もあり)、突然に

 

暇ができたから、僕の黒猫の話をしよう

 

と始まり、どうして自分が黒猫を飼うことになったのか、普段どんな仕草を見せてくれるのかといったようなことを書いています。

この日記を書いた時点で、黒猫を飼い始めて5年だったそうです。

 

黒猫は父親が光孝天皇だった頃に、「源精(みなもとのくわし)」が天皇へと献上したものでした。源精は宇多天皇のいとこにあたる人で、長く太宰府に赴任していました。その任期を終えて都に戻るときに、黒猫を連れて帰ってきたのです。

 

光孝天皇は黒猫を数日かわいがり、自分の息子の宇多天皇に譲りました。このとき宇多天皇(まだ天皇じゃないですが)は17、8歳くらいです。

 

たぶん、皇族を離れて少し経った頃だったのではないでしょうか。皇族として生まれ、将来は有望だと期待されていたのにも関わらず突然臣籍降下することとなり、将来を悲観していたかもしれません。想像もしなかった出来事に、一人涙した夜もあったでしょう。

知らんけど!

 

そんな多感な時期の青年が、父親から一匹の黒猫を譲り受けたのです。きっとこの猫が、唯一自分の心を慰めてくれる存在だったのではないでしょうか。

 

うちの子の毛色は墨のような漆黒で、他のうちの猫なんかよりすごくいいんだ。

 

とか、

 

うずくまった姿はまるで黒い宝石だし、歩くときは足音なんて立てないから雲の上の黒竜みたいだ。ネズミをとるのだって、他のうちの猫なんかよりずっと上手い。

 

とか書いてます。

ただし、かなりの意訳になってますのでご了承ください!

 

猫の背丈や伸びをしたときの長さなども書いてあるんですが、それは今とあまり変わらないようです。

 

この黒猫のご飯が、またすごいんです!

朝ごはんにはいつも「乳粥」を食べさせていると書いてあるんですが、「乳粥」とはお米を牛乳で煮込んだもので、つまりはミルク粥です。

この時代にこのご飯は、超ぜいたく品と言えるでしょう。

 

牛乳は今みたいに簡単には手に入りません。

役所の医療を担当する部署が管理する品物でした。

お米だって、庶民はなかなか食べられるものではありません。

宇多天皇は、こんなぜいたくなものを毎朝、黒猫に与えていたのです!!

 

ベタ褒めだったのに、突然の塩対応!

こんな風に、この猫がどんなに素晴らしいのかとか、散々ベタ褒めしていた宇多天皇ですが、突然塩対応なこと言い出します。

 

この黒猫の世話を一日も欠かさずしてるけど、別にこの猫が素晴らしいから愛してるってわけじゃなくて、先帝からもらったからちゃんと可愛がらなきゃって思ってるだけなんだ。

 

急にどうしたんでしょう。

さっきまでとは全く違う突き放したようなことを書いていますが、照れ隠しでしょうか。

 

この日記を書いている時点で、宇多天皇は21、2歳くらいだと思われます。

21、2歳の男の子が、自分の猫をベタ褒めしたかと思ったら急に冷たくなって、、、ちょっと可愛くないですかぁ^0^//

 

こんなところから、宇多天皇は「猫好きのツンデレ天皇」として猫好きさんたちに愛されているんです。

 

僕はこんな風に話しかけてみた。「君も僕と同じように呼吸するし、目、鼻、口など五体が備わっている。だから僕の心がわかるよね?」黒猫はふっとため息をついて僕の顔を見上げると、何か言いたそうな目をしたんだ。でも言葉にはできなかった。

 

ここ、猫好きさんならめっちゃ共感できるんじゃないですか。

今も昔も、猫と猫好きさんとの関係性は変わらないようです。

 

 宇多天皇のその後は?

897年、宇多天皇は31歳の時に退位します。跡を継いだのは息子の醍醐天皇です。

 

901年、菅原道真は突然太宰府に左遷されるのですが、これをやったのが醍醐天皇などです。このとき道真は宇多天皇に助けを求め、宇多天皇もなんとかしようとしたのですが、結果的に何もできないまま左遷が決まってしまいました。

 

この2年後に道真は亡くなり、京都では左遷に関わった人たちの怪死が相次ぎました。でも宇多天皇には何も起きなかったようです。931年まで生き、65歳で生涯を終えました。

 

宇多天皇は、その後また猫を飼ったりしたんでしょうか?日記に残されていたのは彼の人生のほんのひとときの話だけで、それ以上のことはわかりません。

 

きっと宇多天皇にとっても、そして黒猫にとっても、この出会いはかけがえのないものだったんでしょうね。

 

 

 

久々、長文のブログになりました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

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