今日もご訪問いただき、ありがとうございます。
今夜、私の住む関東地方に台風が直撃しそうです。
だんなは今日も仕事。帰りは普段よりちょっと早めに上がれるようにするか、それができなければ無理に帰らず泊まってきてと言って送り出しました。
このところの気象、甘く見てはいけませんからね。
みなさんも無理せずに過ごしてください。
さて、今日は昨日の話しの続きをさせてください。
よろしければ、昨日の記事を読んでから今日の記事を読んでいただけるとありがたいです。昨日のは、、、コチラです。
「生酛」「山廃酛」「速醸系酒母」のこと、、、ちょっとまとめてみた - 酒猫ブログ(「酒と猫の日々」改め)
「生酛系酒母」と「速醸系酒母」、それぞれの特徴
昨日は「生酛系酒母」の「生酛」「山廃酛」、そして「速醸系酒母」についてどんなものなのかを説明させていただきました。
まとめるとこんな感じになります。
〜<酒母造り>〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
1、生酛系酒母(きもとけいしゅぼ):天然の乳酸菌を取り込んで造られた酒母
a、生酛(きもと):山卸しを行うタイプ
b、山廃酛(やまはいもと):山卸しを行わないタイプ
2、速醸系酒母(そくじょうけいしゅぼ):醸造用乳酸を添加して造られた酒母
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
現在は日本酒の90%は速醸系酒母で造られています。天然の乳酸菌がやってきてくれるのを待つより、市販の醸造用乳酸を添加した方が手間がかからずいいですから、そうなっていきますよね。
でも生酛系酒母で手間をかけて造ったものには、速醸系酒母にはない良さもあります。
それぞれの違い、特徴について説明しましょう。
『生酛系酒母』
・一般的に5℃前後の低温で仕込まれる
・酒母の完成までに30日前後かかってしまう
・さまざまな微生物が関与するためリスクも高い
・一定の品質を得るためには手間や技術が必要
・コストがかかる
『速醸系酒母』
・一般的に20℃前後と生酛系酒母よりも高温で仕込まれる
・酒母の完成までには14日前後ですむ
・他の微生物が繁殖するリスクは低い
・一定の品質を得やすい
・コストは抑えられる
こう見てみると、速醸系酒母の開発により日本酒造りはずいぶん変わったことがわかりますね。
生酛系は濃醇に、速醸系は淡麗になる
一番需要なのは、それぞれの酒母造りによって出来上がった日本酒の味はどうなるかということですよね。味の違いはあるのか、、、ハイ、あります。
『生酛系酒母』
天然の乳酸菌の力を借りているため、乳酸以外にもさまざまな成分が生み出されます。それらの成分のおかげで、出来上がった日本酒は複雑な味わいになります。乳酸の風味も感じられます。速醸系酒母に比べて濃醇な味わいになる傾向があります。
生酛系酒母には『生酛』と『山廃酛』がありますが、この二つも微妙ながら味の違いがあるそうです。『生酛』の方がより重たく、『山廃酛』の方が乳酸の風味をより感じられます。
『速醸系酒母』
乳酸そのものを加えているため、乳酸菌による副産物はありません。そのため生酛系酒母に比べて淡麗な味わいになる傾向があります。
つまり生酛系酒母で造った日本酒は濃醇な味わいになり、速醸系酒母で造った日本酒は淡麗な味わいになる傾向があります。
同じ酒蔵の同じような条件で造った日本酒で、酒母造りの違いによってお酒の味はどう違うのかを飲み比べて確かめてみたいですね。
ラベルに『生酛』『山廃』となければ『速醸系酒母』
現在市販されている日本酒の90%は速醸系酒母で造られています。そんな中、たまに日本酒のラベルに『生酛』『山廃』などという文字を見かけることがあります。これらは生酛や山廃酛で造られた日本酒になります。
ラベルに『生酛』『山廃』の文字がなければ、すべて『速醸系酒母』で造っていると思って間違いないでしょう。そう思って日本酒のラベルを見てみると、ほとんどのものには何も書かれていませんでした。
今まで「書かれていないこと」に対しては何も気にしたことがありませんでしたが、こうみていくと、書かれていないことも意味があるんですね。
現在の世の中は速醸系がほとんどですが、なるべく生酛系酒母にしようとしている蔵もいくつかあります。
例えば「新政」は平成25年酒造年度より醸造用乳酸の使用をやめています。さらにその2年後からは山廃もやめて、現在は「生酛」だけで日本酒を造っています。
「天狗舞」では多くの日本酒を山廃仕込みで造っています。昭和40年代に天狗舞流の山廃仕込みを確立して、そのやり方を今も受け継いて行っているのだそうです。
今後は生酛系酒母で造られる日本酒が少しずつ増えてくるかもしれないですね。
以前、「江戸時代に行われていた生酛造りの技術は速醸系が出てきたことで失われてしまった。現在の生酛造りは江戸時代と全く同じなわけではなく、試行錯誤している途中。」と聞いたことがあります。ただどこで聞いたか覚えてなくて、本当なのかどうかは未確認なんですが。。。
江戸時代の人たちは、酵母や乳酸菌とかの存在を科学的にはまだ知らなかったはずです(何かがいるってことは気づいていたかもしれませんが)。そんな中で、目に見えないものを相手にいろいろと工夫して日本酒を造っていたなんて、びっくりです!
五感をフル稼働させて、ちょっとして変化も見逃さずってとこですかね。杜氏や蔵人ってすごいですね。
美味しい日本酒が出来上がるかどうかっていうのは偶然性もあったようで、一度いいものができたからといってそれを再現するというのは難しかったそうです。場合によっては雑菌によって、仕込んだ樽が全てダメになってしまうこともあったと言います。
江戸時代までの日本酒造りはそんな感じでしたが、明治時代以降は醸造技術に格段に進歩しました。機械化もされました。いろんなものが合理化され、安定して質の良い日本酒が造れるようになってきていますね。良いのか悪いのかは別にして。。。
というわけで、ここまで読んでいただきありがとうございました。
にほんブログ村に参加しています。ぜひクリックをお願いします。