『日本酒は醸造酒』
と言われても「醸造酒」がどんなお酒なのか、聞いたことはある言葉なのだけれどはっきりとはわかっていませんでした。
「蒸留酒」ってお酒もありますよね。これも正確にはわかっていませんでした。ウイスキーを造っている場所を「ウイスキー蒸留所」っていうくらいだから、ウイスキーは蒸留酒かなぁというくらい。
この「醸造酒」と「蒸留酒」の違いはなんなのか、そしてそれぞれにどんなお酒が当てはまるのか、説明していきましょう。
酒類は3つに分類できる
まず、酒類は大きく3つに分類できます。
- 醸造酒
- 蒸留酒
- 混成酒
これらはお酒の製造方法の違いによる分類です。製造方法がそれぞれに違っていて、それによってお酒の持つ特徴も違っています。
醸造酒〜日本酒・ワイン・ビール〜
「醸造酒」とは穀類や果実などの原料を、発酵させただけでできるお酒です。アルコール度数は蒸留酒に比べて低くなります。
例えば日本酒やビールは穀類を発酵させて造ります。ワインは果実を発酵させて造ります。このように原料を発酵させただけでできるお酒が醸造酒と呼ばれるものです。
ただ同じ醸造酒でも、日本酒とワインとビールの発酵の方法はそれぞれ異なります。それについて詳しくはまた後で、、、下の方に書いてます。
蒸留酒〜ブランデー・ウイスキー・焼酎〜
「蒸留酒」とは醸造酒を蒸留して造られるお酒です。アルコール度数は醸造酒より高くなります。
蒸留とは、お酒を加熱してその中に含まれる水やアルコールを蒸気にし、その後その蒸気を冷却してまた液体に戻すことを言います。水とアルコールではアルコールの方が蒸気になりやすいため、その蒸気を冷却するとよりアルコール分の高い液体になるのです。
日本酒のアルコール度数は高くても20%程度ですが、蒸留酒では40%以上になります。
混成酒〜リキュール類など〜
醸造酒や蒸留酒に薬草、果実、甘味料、エッセンスなどを加えて造ったものです。例えばカンパリやアマレットといったリキュール、梅酒、薬酒、みりんなどが混成酒になります。
醸造酒は発酵方法によって3つに分類できる
さて原料の穀類や果実などを発酵させただけで造られる醸造酒ですが、その発酵の方法には次のような3つがあります。日本酒、ビール、ワインは「醸造酒」というくくりでは同じグループなのですが、それぞれ発酵方法、つまり造り方は全然違っているのです。
- ワイン:単発酵
- ビール:単行複発酵
- 日本酒:平行複発酵
それぞれについて詳しく説明しましょう。
単発酵とは?〜ワイン〜
「単発酵」とは、原料の果実の中の糖分をそのまま発酵させるシンプルな方法です。
例えばワインの場合、原料のブドウ果実の中にはすでに糖分が含まれています。そのためここに「酵母」を加えるだけで発酵が進んでアルコールがつくられます。
この「酵母」とは大きさが10ミクロン程度の微生物です。ブドウ糖などの糖分をエサにして生きていて、エサとして食べた糖分はエチルアルコールと炭酸ガスに分解します。
つまり酵母のおかげで糖分からアルコールがつくり出され、そして私たちはそれを飲んで心地良い気分にひたれるのです。
酵母については、いずれまた詳しく書きます。にしても、酵母の働きってすごいですね〜。
単行複発酵とは?〜ビール〜
「単行複発酵」では原料の穀類に含まれるデンプン質をまず糖化して糖分に変え、それからその糖分を発酵させていきます。「単行複発酵」では糖化と発酵が別々に行われます。
ビールがこの発酵方法で、先に麦芽に含まれるデンプン質を糖分に変え、それからその糖分を発酵させてアルコールにしていきます。
並行複発酵とは?〜日本酒〜
「並行複発酵」では原料の穀類に含まれるデンプン質の糖化と、糖化によって出来た糖分の発酵とが同時に行われています。
日本酒は米の中のデンプン質を麹が糖化しながら、同時に同じタンクの中で糖化によってできた糖分を酵母が発酵してアルコールにしていっているのです。
このように糖化と発酵が同時に行われるという発酵方法は世界でも珍しいようです。そしてこのような発酵方法には、高い醸造技術が必要なのだそうです。
日本酒は世界でもまれな繊細な製造方法によって造られたお酒なんですね。そんな繊細な日本酒を昔から造り続けてきた日本にせっかく生まれたのだから、もっと日本酒のことを知りたいなと、、、思っています。
今日のまとめ
酒類の分類
- 醸造酒ーワイン、ビール、日本酒など
- 蒸留酒ーブランデー、ウイスキー、焼酎など
- 混成酒ーリキュール類、梅酒、みりんなど
醸造酒の発酵方法による違い
- ワインー単発酵
- ビールー単行複発酵
- 日本酒ー並行複発酵